コミック「あかよろし！」他

　藤は、花札のカードを特に「かわいい」とは感じ
なかったみたいです。それでもゲームについて調べよう
と思ったのは、そうすれば他のかわいいものに触れて
いられると考えたから、、、？　仮にそうだとしても、
それはきっかけに過ぎないのでしょうね。
　その他、かずといずみさんの単行本が発売される
ようです。

　発行JIVE、月刊コミックラッシュの５月号に
読み切りとして掲載された、かずといずみさん作の
コミック「あかよろし！」を見てみました。
（なお、作品紹介のページにあるリンクをたどると、
最初の何ページかを試し読みする事ができるように
なっています。）
　お嬢様学校だったのも今は昔、不良の巣窟と
化した私立菖蒲ヶ丘学園で、２年生の一柳藤
（いちやなぎふじ）は「静かなる阿修羅」の異名を取り
特に恐れられていた。本人は無類のかわいいもの
好きなのだが、うまく周りと接する事ができず
誤解されているのだ。そんなある日、留学生の
キリ・ストゥルルソンが学園へやって来る。

　キリとの出会いの場面で、髪に触れられた
藤は体に震えが走っていたみたいです。でも
あれは悪寒とかではなく、これまで学園で
あんな感じのふれあいをした事がなかったから
驚いてしまったのでしょうね。（ていうか
急に後ろから髪を触られたら誰でもびっくり
するかな、、、。）
　２人とも、相手に対する出会いの印象は
良かったようです。もっとも、キリから見れば、
学園内での藤の噂を知らないから素直に接する
事ができたとも言えそう、、、？　ですけど
他の誰かが言っている事よりも、本人達が直接
相手を見て感じたものが大切なのだと、２人とも
わかっていたのではないでしょうか。
　では藤から見たキリは、、、。かわいらしい
相手の容姿は藤のツボにばっちりはまっている
みたいですね。それだけでも、ずっと見ていたい、
近づきたいという気持ちを十分に起こさせた
ようで。
　でもキリが困って悲しんでいる姿を見た時、
浮ついた気持ちだけではない、何かが彼女の
中に生まれたようです。、、、彼女にしてみれば、
正直言って花札なんてよく知らないし、言われる
まで存在も忘れていたかもしれません。けれどその
事でキリが困っているなら何とかしてあげたい、
とすぐに思ったのでしょう。それに、自分が
興味を持っている人が興味を持っているもの
ですから、そこには素晴らしい何かがあると、
彼女は思ったのでは、、、。
　そうして、彼女達は一緒に花札について
調べ始めます。どちらも没頭してしまって、
気がつけば夜の図書室で２人きり、、、。何が
そんなに彼女達を引きつけたのか、本人達には
よくわからないらしいです。けれど一つだけ
はっきり理解できるのは、２人だからここまで
できた、という事。これがもし１人だったら、
これまでと変わらない、やりたくても何も
できない、そんな日々でしかなかった、、、。
２人でいる事、しかもその相手がキリであり
藤である事が、彼女達に重要な意味を与えたの
ではないでしょうか。
　２人はこの意味を自覚できるのか、その先は
どうなるのか、みたいな部分が注目点になりそう
です。どういう事があっても、彼女達にはお互いの
つながりを持ち続けてもらいたいですね。

　、、、といった感じで、作品的には、恋愛模様
そのものというよりも、そこに至るまでの過程を描く、
みたいな雰囲気でしょうか。２人で一緒に何かをする
喜び、いつでも一緒にいたいと願う気持ちは、次の
ステップで百合な感情を呼び覚ますのでは、と
思わせますね。そういう物語の広がりを楽しめる
作品なのでは、なんて考えてしまいます、、、
（百合テイストを期待しすぎ？）。

　本編ストーリー以外で気になった部分は、、、
キリの祖母と学園長の関係があるのかどうか、
とか。年代が違うような気もするのであまり
関係はない、でしょうか。それと面白かったのは
学園の不良達が皆きちんと制服を着こなしている
所など、、、。この人達は実はけっこう真面目
なのかもしれませんね。

　なお、たぶんこの作品も含めて、これまでに
発表されたかずといずみさんの作品集が単行本
として発行されるそうです。今回は特に同人誌や
デビュー初期のものが多いとか。5/7のリリース
予定で、タイトルは「小さな惑星の小さな話」
だそうです。柔らかな絵柄で胸が温まるような
物語を楽しめたりするのでしょうか。ちなみに
「黒タイツ率」は高めらしいです、、、。