ウエルベールの物語 第２３話

　偶然のいたずらと思わずにはいられないほど、
ティナにとっては想像もできない事実だったの
でしょうね。リタの事が何よりも大事な彼女に
とって、ここで突きつけられたのは、厳しい選択
なのではないでしょうか。

　テレビアニメ「ウエルベールの物語 第二幕」、
第２３話「暗殺の章」です。
　リタの父、ハイデル王の命により、ティナの
両親の仇である「死神蜂の男」を探す手配書が
街中に配られた。これで相手が見つかるのも
時間の問題、とリタは言うが、ティナの表情は
晴れない。彼女の頭の中には、男の正体について
一つの、危険な解答が渦巻いていた。

　城の地下室で聞いた口笛は偶然？　とティナは
考えたいようです。が、１０年間探し求めてきた
親の仇の特徴を、そう簡単に間違う事もないの
でしょう。とすると第３の「死神蜂の男」とは、
ほぼ間違いなく、、、。何度繰り返し考えても、
ティナの思いはそこへ行ってしまうのでしょうね。
一人で悩み抜いたティナは、城を抜けだして街へ
、、、。歩き方はどうにも危なっかしい感じでした
けど、今回は第１０話の時のようにお酒に手を
出したりはしなかったようです。こういう所は
少し成長したのかも（でも後でリタから、別の事を
話している時に「昼間から酔っぱらっているの
ですか？」なんてつっこまれてましたね）。
　とはいえ当てもなくうろついてもこの悩みが
解決するわけでもなく、、、。しかもその悩みを
リタと分け合って一緒に考える事もできません。
彼女はどうしても、一人でつらい真実と向き合わ
なければならないようです。そこから、どういう
答えが導き出されるのでしょうか。

　また、ローデンも悩みを抱えているようです。
この人って、これまではごく普通に、ウエルベール
の王子として、リタの兄として振る舞っていた
ように見えました。けれどその記憶の中には、
忘れたくても忘れられない暗い過去があるみたい
ですね。
　戦争の悲惨さを自分の身で経験したという
意味では、この人も被害者だったと言えるの
かもしれません。その頃の自分を思い出すと、
ローデンはとても反省して悔やんでいるよう
です。ティナの身の上を聞いただけで一瞬で
形相が変わってしまったほどですものね。
１０年前に起きた戦争はそれぐらい恐ろしい
ものだったのでしょう。
（でもその割には、第１幕でローデンは
サンガトラスとしきりに戦争したがっていた
ようにも見えるのですよね、、、。攻撃される、
という事に敏感になっていたのでしょうか？）
　ローデンが許されない事をしたのは事実
なのでしょう。なのでこの人の本当の価値が
示されるのは、戦争があった１０年前から今まで
に何をしてきたか、なのではないでしょうか。
単に一国の王子で、リタの兄であるみたいな
事ではなく、本人がどんな考え方をして、周りに
対して何をしてあげてきたのか、、、これに
よっては、これからの生き方も変わってくる
ような気がします。

　ティナは、ボルジュラックとの会話の中で、
今の思いを抱えながらずっとリタとつきあって
いくのか、と問いかけられています。それに
対してティナは返事ができずにいますね。これは
つまり、ティナはリタから離れるつもりなんて
全然ないという意味なのでしょう。
　自分の今の悩みが生まれているのは、
リタと自分との深い関わりがあるからだ
という事に、彼女は何となくであっても
気づいているのかもしれません。それでも
ティナはリタを切り捨てるような真似はできない
、、、。そういう風に、２人は見えない所で
強く結びついているのでしょうね。
　この後ティナがどんな決断を下すのか、
そしてその結果をリタがどう見るのか、、、。
その辺りが重要な見せ場になってきそうです。
やはりこの物語はリタとティナが主人公ですから、
この２人の間の気持ちの動き、絆の強さを
見せていってもらいたいですね。今回ティナは
リタに対してはっきりと相手への思いを
告白していますし。百合テイストをたっぷり
見せてもらいたいです、、、。

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