ウエルベールの物語 第10話
とても重大な決断を下したリタ。それが世界と自分
との間にとって重要というより、ティナと自分との
間にとって大事なのだという事を、彼女には十分に
わかってもらいたいですね。もう決して相手の手を
離すことがないように。
テレビアニメ「ウエルベールの物語」、
第10話「絆の章」です。
ティナが約束を破って盗みをはたらいたとしか
思えなくなったリタは、ついに彼女と決別してしまう。
離ればなれになって、リタは眠れぬ夜を迎え、
ティナは酒浸りになる。
晴れぬ気持ちを抱えていながら、2人は互いを
どうすることもできなかった。
ティナは酒場で酔いつぶれそうになってしまい
ます。近づいてきた男は、ティナの内心を勝手に
想像していますが、、、。時にはこういう赤の他人の
立場からものを見た方が正しい事を言い当てている
場合があるみたいですね。
ともに旅をする間に、いつか愛しさを抱き始めた
正にその人に、正面から自分を疑われてしまった
としたら、それはもう失恋と同じ事なのではないで
しょうか。
男は、酔いすぎたティナを介抱もせず逃げ出します。
こういう類の人間は、ティナからしたってもう全然
お呼びじゃないのでしょう。(ところで、ティナが
飲み過ぎて具合を悪くする描写が(主に音で)されて
いました。普通だとここまで表現しないですよね。
この作品は他にも大人な描写が出てきたりしていて、
実はけっこう演出にこることで他の作品との違いを
出そうとしているのかもしれません。)
そして男の次にはズシカが現れますが、彼女は
どうでしょう、、、? すぐにこれだけうまい
コンビネーションを発揮できる相手は、世の中に
そうはいないでしょう。けれどたとえ息が合って
いようとも、ティナの胸の中には自分が入り込む
余地はない、、、。ズシカはティナがシェリーに
当たり散らす姿を見て、それを思い知らされたので
しょうね。
ズシカだって、気の合う相方に出会えたと思っていた
みたいですし、町の人から「いいパートナーを見つけた
じゃないか」と言われた時は、本当に嬉しかったんだと
思います。2人ならうまくやっていける、、、仕事を
始めた初日からそう思える人には、気さくな彼女
であってもなかなか出会えないのではないでしょうか。
とても嬉しくて、とっておきのキャビアやフォアグラを
ティナに振る舞ってしまうほどです。
でも、ティナが常に思っているのは自分以外の
女性。しかもティナ自身はそれを否定しようとする。
ズシカはそんな彼女を見た時、絶望的な思いになって
しまったのでは。馬車の陰からティナをのぞいていた
彼女の表情は、とても悲しそうでした。そんな
気持ちを味わいながら、彼女は同時に、ティナが
気づいていない本人の胸の内を、せめて意識させて
やろうと考えたのでしょう。そうするために、
彼女はああいう突き放し方をしたのかな、と
思ったりします。もっと自覚しろ、と言いたかった
のかもしれません。ズシカなりの思いやりだった
のかも。
一方のリタ。宿で一夜を過ごした彼女は次の日、
グリーダム行きの船に乗るために出発の準備を
します。ところがそこで事実を知ることになり
、、、。国を巻き込む戦争と、1人の女性とを秤に
かけることになります(正にこの瞬間は、
戦争にさえ劣らない危機、なのでしょうね)。
夜の間ずっと考えたと思われる自分の今の気持ちを、
リタは行動で表します。
でもここでのリタのせりふを聞いていると、
何だかやっぱりちょっとお堅い感じがしてしまう
のです、、、。リタは「ティナに謝りたい」から
彼女を捜しているような言い方をしています。
自分の誤りを認め、相手の言う話を信じなかった
事をわびようと。
けれど、なりふり構わず街の中を探し歩くリタの
姿には、とてもそれだけでは済まない気持ちが
表れています。この点については、本人よりも
周りで見ている方がよくわかっているのではない
でしょうか。なので、ここはリタ自身の気持ちが
何を求めているのかを、もっときちんと描いて
欲しい所でした。
何しろ後の場面でのティナへの謝り方が、、、
でしたものね。本当に済まないと思っていることは
伝えられたのでしょう。、、、でも何というか、
謝れば何でも許されるわけでもないのでは、
とも思ってしまうのですよね、、、。ティナは
「すれっからし」、そんな彼女に対して一国の
お姫様がああいう事をするなんてありえない
出来事ではあります。でもそれだけだと、身分の
違いをより鮮明にさせてしまう気がします。
リタがティナを信じてあげられなかった原因が、
そういう身分の差を意識したことにあると
どちらかが考えてしまったなら、2人の間の
距離はなかなか縮まらないのかも、と感じられて
しまいます。
、、、これまで生きてきた経験をもとに、
人は行動をする。王家に生まれ育ったリタは、
彼女なりの判断基準でティナや他の市民達と
ふれあってきました。ですがそのやり方で、
彼女は人の気持ちを傷つけてしまったことに
気づきます。しかもそうなってから初めて、
相手が自分にとってどれだけ大切な存在なのかを
思い知らされて。
でも今まで身に着けてきた判断基準では、
どうすれば良いのか答えを出すことができない
ようです。こんなにも相手の事を思っている
のに、この時の彼女にはそれを上手に伝えることが
できなかったと言えるのかもしれませんね。
それで勢い余ってあんな行動をした、と
解釈することもできそうです。
まあいずれにしても、ベッドシーン(?)を
持ってくるのは若干ありがちな気がしないでも
ないですけど、2人とも良かったね、という
気持ちにさせてくれます。
さて今回は「絆」の物語でした。この後の
展開はどうなっていくのでしょうか。
ちょっと気になるのは、ジンですね。
このままひょっこりティナ達と一緒に
旅をして、ゴール付近のおいしいエピソードに
ちゃっかり参加してきたりする? もしそう
だとすると少しずるい気が、、、。この人は
リタとティナに対してどういう位置づけを
取るようになるのでしょう。
それから最近噂が流れてこない「死神蜂の男」、
ここまで何も進展がないとなると、決着は
先延ばしにされてしまう? ティナの
生い立ちに暗い影を落としている人ですから、
もしどうにかなるとしたら、リタにも
積極的に関わっていってもらいたいですね。
次の回は、、、ガラハドとジャミルの
エピソード? リタ達のグリーダム行きは
どうなるのでしょうか?
それともう一つ気になった事が。番組の
冒頭でリタの懸賞金について言われていますが、
これがリタとティナのものになったら面白い
かも、と思いました。賞金以外のものは、
「馬1頭、酒2樽」、、、。ティナは馬を
持っていますから、もらった馬にはリタが
乗って、酒を1樽ずつ荷車に乗せて2人で
一緒に旅に出たら、、、なんて想像してしまい
ました。
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