地獄少女 二籠 第20話
何も言わなくても分かり合えると思っていた
相手の気持ちが、ふと見えなくなったりする事
ってありますよね。それを乗り越えて2人で
ともに長くやっていくには、時には言葉で
はっきり伝え合うことも必要なのかもしれません。
テレビアニメ「地獄少女」の第2シリーズ
に当たる「二籠(ふたこもり)」、第20話
「乙女のアルバム」です。
友達からの映画の誘いを断ってしまう藤巻真里。
そこには親友、森内樹里からの無言の圧力が
あった。一緒に下校する真里に、樹里は袋から
取り出したものをちらつかせる。それは、
地獄通信から手に入れた黒い藁人形だった。
まず最初に、筋とは関係ない事をちょっと。
個人的にはこういう怪奇趣味、和風、サスペンス
要素のある物語はそれほど嫌いではなかったり
します。なのでこの「二籠」も録画はしていました。
これで百合なエピソードでもあったら儲けもの
かも、と思いながら第1話「闇の中の少女」を
見ていたんです。そうしたら女生徒2人に女教師
が登場、、、これは早速女同士の百合な愛憎? と
期待したら意外とそうでもなく(女生徒が女教師に
お菓子を作ってあげたりしてましたが)、若干
テンションが下がってしまいそれ以降見てません
でした、、、。
そうこうしている内に3月になってしまった
のですが、yuri_yuriさんのブログでこの話数が
紹介されているのを見かけました。それで、
これは見なきゃでしょ、という事で鑑賞したわけ
なのでした。(このチャンスを与えてくださった
yuri_yuriさんには感謝、です。)
さて、、、樹里と真里は、出会った瞬間から
惹かれ合っていったようです。学校がある時も
休みの日もいつでもともに行動し(「休み時間に
2人でお手洗い」は、まあ基本エピソードですね)、
離れる事なんて考えられなかった。どちらかが
困っていればそっと助けに入り、手を取り合って
同じ歩調で歩もうとする。彼女達の間には言葉さえ
意味はなく、互いに近づいて近づいて、いっそ
一つになってしまえたら、とまで思っていたの
かもしれません。
けれども樹里は、ある出来事がきっかけで真里に
対する態度を変えてしまいます。真里もすっかり
沈んだ表情になり、樹里からのきつい束縛を、何も
言わず受け入れるだけです。
、、、同じ髪型に、同じ髪留め。バッグや小物も
全部おそろい。2人は一緒。ずっと一緒。
何があっても、いつまでも、一生一世、
死ぬまで一緒。
では死んだ後は?
もう2人の関係は、修復できないぐらいに壊れて
しまったのでしょうか。それぞれが胸に抱いている
気持ちは変わり果ててしまったのでしょうか。
、、、樹里は、真里に冷たい言葉を浴びせて、
他の友達との遊びの約束を邪魔しています。孤立
した真里は、2人分のバッグを持たされて樹里と
ともに下校。放課後真里は、樹里の部屋で藁人形を
使って脅され、、、。
結局今でも、2人は片時も離れずともに行動してる
んですよね。樹里は真里にそばにいて欲しいと願って
いて、真里も樹里から離れたいなどとは思いもしない。
2人の気持ちは、以前と何も変わっていない
ようです。
ではなぜ、地獄通信がアクセスされてしまった
のでしょう。
それまでの2人は、何も言わなくてもお互いに
分かり合える、そう考えていたのでしょう。ところが
ほんの少しのすれ違いが、彼女達の間の信頼に
揺らぎを与えてしまい、、、。
こういう揺らぎに対しては、ここまで2人が
築いてきた関係性は力が弱いのかもしれません。
お互いの気持ちを言葉できちんと確かめ合わなかった
ために、相手が本当は自分の事をどう思っている
のか自信がなくなってしまったのではないでしょうか。
そしていざという時に、相手の事を信じて待ってあげる
ことができなくなり、、、。
一時的に真里に後れを取った樹里は、相手に
置いて行かれたくない思いでいっぱいになった
のでしょう。何とかして彼女にしがみつこう
として、午前0時に危険な扉を開いてしまった
ようです。
でも、「自信がない」と「愛されてない」は別物。
どれだけ不安になっても、最後に残るのは本当の
気持ちだけです。たとえ姿形は変わっても、
たとえ地獄へ堕ちようとも、この事は誰にも
覆すことのできない真実なのではないでしょうか。
そのためなのかどうか、あいの地獄送りの
せりふも、今回ばかりは少し語感が違っていた
ような気がします。
今回のエピソード、演出的には、樹里と真里の
学校での立場があまり語られていませんでしたね。
あれだけべったりしていたら必ず噂になりそう
ですけれど。それともあまりに自然すぎて、
周りは誰も、何か言ってやろうという気には
ならなかったのかな。テストの成績が張り出される
場面でも、2人で勝手にやってて、みたいな
感じでしたね。外部からの偏見みたいな要素は、
この2人には通用しない、という意味なのかも
しれません。
では反対に、「内部」について考えた場合は、
どちらか一方が心変わりしてしまう、なんていう
のが要素としてありそうです。これに関しては、
あいときくりがちょっとしたエピソードを見せて
くれているようです。最後の場面できくりが言った
一言は、意外と怖いですよね。あいが、彼女に
付けてもらった花の髪飾りを取ってしまったのも、
その言葉を受けるのを嫌がったからなのかな、
なんて思いました。
今回のストーリーを振り返ると、愛を語る言葉
などは一つも出ていませんでした。ですが、
樹里と真里の行動や、「歴史アルバム」のような
アイテムなどからは、息が苦しくなるほどの
2人の間の愛情が感じ取れるのではと思います。
百合的にはなかなか良いかもですね。
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コメント
このエピソードは凄かったですねぇ。
とても歪んだ形ではありますが、濃密
な百合のあり方を描かれて・・・。
録画しておけば良かったです。
投稿: nobu | 2007年4月20日 (金) 07時04分
真里と樹里は、変に邪魔が入らなければうまく愛情を育てていけた
ような気もしますね。ボタンを掛け違えることもなく、、、。
お互いに未熟で、相手を信じる力をまだ十分に持てていなかったことが
悲劇だったのかもしれません。
百合という、頼れる人も少ない道なだけに、一度踏み外してしまうと
とたんに奈落の底に、、、。
でも最後に救いはあった、と信じたいですね。
投稿: ギンガム | 2007年4月22日 (日) 12時52分