ストロベリー・パニック 第22話
サブタイトルにもあるように「決闘」がメインの
ストーリーになっていました。が、それだけでなく、
様々な登場人物の思いがはっきりしてくる内容
だったのではないでしょうか。
テレビアニメ「ストロベリー・パニック」第22話、
「決闘」です。
スピカ生徒会長詩音の働きかけを受けても、エトワール選
立候補への意志をなかなか見せない天音。彼女には、静馬の
言う「エトワールにならなければ得られないもの」の意味が
わからない。
そこへ突然要が現れ、天音に決闘を申し込んでくる。
今日も今日とて(?)光莉にちょっかいを出している要。
これはもう定番の場面になってしまったのかと思ったら、
そうではなかったようです。
光莉の懸命な言葉に、要は胸を揺さぶられたのでしょうか。
これまで(たぶん)意識的に避けてきただろう自分の本心を、
暴くことになります。それは、決して届かないとわかって
いるのに追い求めずにはいられない、「星」へ手を伸ばす
ことを意味していました。
この挑戦に立ち上がる彼女の心境は複雑なものだったのかも
しれませんね。でも、いつかは答えを出さなければならない
問題だったのでしょう。いつまでも、桃実との甘く、刺激に満ちた、
夢のような生活に埋もれているわけにはいかない、と。
挑戦の後、要は天音に向かって、目をそらさずに、はっきりと
言い放ちます。「だから君は嫌いだ」と。その裏に隠された彼女の
気持ちは、、、天音にはわかったみたいですね。この場面でも、
天音は、自分が周りからどれだけ強く思われているかを、その責任を
痛感したのではないでしょうか。
一方、要の思いは桃実にも影響を与えたようです。
これは想像なんですけど、桃実は、最初の内は、退屈な学園生活を
少しでも楽しく過ごせるようにと、要と一緒に2人の世界に陶酔する
「遊び」をしていたんじゃないかなという気がします。エトワール
自体にはそれほど興味はなかったけれど、もし選ばれたなら
アストラエアに2人だけの楽園を作ろう、なんていう「ごっこ」を
楽しもうとしていたのでは、と思いました。
ところが、いつの間にか相手はその遊びから降りていて、しかも
他の女性に心を奪われていた。
自分が相手の瞳の中に映っていなかったことを知って、桃実は
感情を高ぶらせます。それは、彼女のプライドが傷つけられた
とかではなく、知らない内に、どうしようもないほど、相手を
愛してしまっていたことに気づかされてしまったからなのかなと
思いました。うぶな恋心に気づいた瞬間があのタイミングだとしたら、
彼女もどうしたら良いかわからなくなってしまいそうですね。
この後この2人はどうなるのでしょうか。
、、、と、要と桃実にとっては重要な回でしたけど、
それだけではありません! 光莉と夜々です。
ついに歌まで歌えなくなってしまった夜々。寮の部屋に2人で
いる時にあんな反応をされたら、さすがに気落ちしますよね。
彼女は自分から歌うことをやめてしまったようですけど、
実際には本当に声をメロディに乗せることもできなくなるほど
つらかったのではないでしょうか。
その落胆はどんどん深くなり、やがて部屋で光莉と
話し合うだけの元気さえなくなってしまい、、、。
ここで鍵になってくるのは、光莉がどう感じるか、ですね。
夜々に顔を背けられ、一言も会話できなくなってしまって、
彼女は何を思うのか。
光莉は、夜々がどれだけ自分の支えになってくれていたか、
ここではっきりと思い知らされたのではないでしょうか。
緊張をほぐしたりアドバイスしたり、危険な罠から
逃がしてくれたりした夜々。彼女のおかげでどれほど
救われてきたか、考えれば考えるほど光莉には思い当たる
ことがあったのではと思います。
そしてやっと、光莉は夜々と本当の意味で向き合う
決心をしたようです。いえ、決心というよりは、もう
どうしたらいいのかわからなくなってしまって、夜々の後ろ姿に
すがりついた、とも言えるのかもしれません。
光莉はもともと、自分に自信が持てない人だったみたいですね。
自分からの一歩がなかなか踏み出せず、いつもためらっていた。
でもここでは、背を向けてしまった夜々にしがみついて、精一杯の
言葉をかけます。つまりそうしなければならないほど、光莉の中で
夜々は大きな存在だったのでしょう。
光莉が自分をまっすぐ見てくれたことを夜々は悟ったようです。
彼女はついに、自分の気持ちを直接光莉に告げました。
これで、第13話、第14話での夜々の行為が、
冗談や悪気などではなく、愛から来ているのだということを、
光莉は改めて知らされたのではないでしょうか。
触れることがためらわれるほど落ち込んでいた女性が、
実は自分のことを深く愛していた、、、。でも自分の
気持ちはよそへ移ろうとしていて。この状態では、たとえ
どんな言葉をかけたとしても、相手を傷つけてしまうでしょう。
光莉にもそれはわかっていたようです。
でも、大好きな夜々を悲しみの中から連れ出すために、
光莉は夜々に訴えかけます。
ここは光莉と夜々どちらにとってもぎりぎりの状況だった
のではないかと思います。でもお互いの事は自分達だけで
解決しなければ、この2人にとっては意味がないのでしょう。
その2人の行方は、、、。まずは良かったのでは
ないでしょうか。
(でも天音がやってた事を光莉が真似てましたね。あれが
自分と光莉2人だけの間の秘密ではないと後で知ったら、
夜々ちょっとへこむかも? それと、場面の切り換えを
抑えてもうちょっと2人の対話をじっくり聞きたかった
気もします、、、。)
この後の夜々と光莉への期待としては、まるで
何事もなかったように元通りになるのではなく、お互いの
本当の気持ちを知り合って、より深く分かり合えている、
そんな仲になってほしいですね。(ただの親友ではなく、
それこそ「親友以上」と胸を張って言えるぐらいに。)
物語の行く末はわかりませんが、前にも書いたように
明るくまとまってほしいです。もうちょっと詳しく言うなら、
(嘘っぽい朗らかさではなく)明るく、愛らしくまとまって
もらいたいですね。
そして、静馬と渚砂。第20話の溜め息の連続で
消え入りそうになっていた静馬と、渚砂との間にふと
ふれあいが。渚砂の言葉は温室の花に向けられたものですが、
静馬にも確かに何かの気持ちを呼び起こさせたみたいですね。
この2人には変化は訪れるのでしょうか。
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