ストロベリー・パニック 第19話
テレビアニメ「ストロベリー・パニック」第19話、
「リフレイン」です。
静馬の別荘から茫然自失となって帰ってきた渚砂は、
いちご舎の前で倒れ込んでしまう。
その後、寮の部屋で目覚めた渚砂は、彼女を見守る
女性に向かって無意識に「玉青ちゃん」と呼びかける。
しかしそこにいたのは玉青ではなく、生徒会長の深雪
だった。
今回は3年前のミアトルでの出来事がエピソードの
中心になります。このため渚砂はほとんど登場しません。
それでも校舎や御聖堂の姿は変わらず、生徒達の
雰囲気も同じ。(少し幼いけれど)静馬と深雪もいる。
渚砂がいないその世界で繰り広げられる物語を
目の当たりにしていると、アストラエアの丘でずっと
絶えることなく紡がれてきた、大きな時間の流れを
感じさせられますね。
第9話で深雪が言っていた「たくさんの少女達の
思い」の一部を見ている、と言えるのかもしれません。
(第1クールのOP主題歌「少女迷路でつかまえて」の
2番の歌詞にもそんな雰囲気があったような。)
でも今回、その過去の物語の語り手となって
いるのは、静馬でもなく玉青でもなく、深雪です。
彼女が話していたのはもちろん事実には違いない
のでしょう。けれど、一連の出来事のすぐそばにいた
人間の視点から見た言葉のため、客観的になりきれて
いない面があるような気がします。
なので、この「誰一人として幸せになれなかった物語」
には、まだまだ隠された部分があるように思えます。
当時のエピソードは今回だけのような雰囲気ですが、
いずれ、静馬本人の口から何か語られるような日は
来るのでしょうか。
そう、例えば静馬の別荘で何があったかとか。前回
彼女は、「あれは同情だったのかも」なんて言ってましたけど、
実際何があってどう感じたのかを、ちょっと知りたいですね。
「同情」とか言われてしまうと、何か愛情がなかったみたいで、
少しやるせない気持ちにもなります。(もっとも、渚砂に
とっては都合のいい展開になりそうな見方もありますけど。)
ともかく、静馬は3年前、いちご舎で、彼女に出会いました。
彼女、桜木花織に。
花織と出会って、静馬は新しい感情に目覚めていきます。
寄り添って夜空を眺めたり、部屋で秘密のお茶会を開いたり、
そんな日々の中で静馬が見せていた表情は、それまでの
ものとは違っていたのでは、と感じられます(1、2年生の頃の
彼女があまり描かれていないのでよくわからないのです
けどね、、、)。
花織はそれだけ魅力があったんでしょうね。静馬の
手からティーカップを奪う彼女の仕草、そういう無邪気な
所などに静馬は惹かれていたのかもしれません。この
無垢さは、彼女が育った環境にも関係していそうです。
(もしかしたら彼女は「狙って」そういう事をしていた
のかもしれませんけど、まあそういう点も含めて無邪気
なのでは、、、。)
急速に親密になる静馬と花織。二人を目の前で見続けてきた
深雪は、内心どう思っていたのでしょう。
、、、花織を預かることにしたのは生徒会を手伝うため、
生徒会を手伝うのは未来のエトワールをサポートするため、
そして未来のエトワールは、、、静馬?
それが望みだとしたら、彼女の望みは何一つ間違うことなく
実現しています。静馬はエトワールになり、深雪は
生徒会長として立派に静馬をサポートすることになる。
でも彼女は、満たされているようには見えません。
花織の身に起きた事、静馬の豹変、考えられることは
幾つかありますが、大きいのはやはり深雪自身の
静馬への思いなのではないでしょうか。
しかもその思いに気づいたのは、静馬が花織に
出会った直後からなのかも、と思ったりします。
というのも、(「森のいちご狩り」にも書かれて
ましたけど)前半の最後の深雪のせりふが、何か
感情を抑えた固い感じになっていたもので、、、。
だとすると、花織がいなくなってから、少しも
静馬の凍ってしまった気持ちを自分の手でとかすことが
できなかった深雪は、いたたまれない思いを抱えて
いたのではという気がします。(髪を切ったのも
その辺りに理由がありそうな。)
しかも、静馬を癒す役目を渚砂に託さなければ
ならないとしたら、、、。「以前の静馬を取り戻すため」
とはいえ、彼女の中では苦しい決断だったのでは
ないでしょうか。
ここで気になってくるのは、最初にも書いたように、
深雪が取り戻したいと思っている「以前の静馬」って、
花織にすら出会う前の彼女の事なのかな、とも思える
点です。花織はもちろん今のミアトルにはいないわけ
ですから、戻るとしたらそこになるのではないかと。
つまり深雪は、(自分で意識しているのかどうかは
わかりませんが)誰にも邪魔されずに静馬と生活したいと
どこかで願っていたりするのかな、なんて考えて
しまいました。
もっとも、今は渚砂という存在があるので、渚砂が
静馬を支えて欲しいと願っているのかもしれません。
でもそこで注意しなければならないのは、「渚砂は
花織ではない」という事でしょう。これは今後、
深雪も静馬もしっかり意識しなければならないこと
なのでしょうね。
そしてやっと、渚砂が行動を起こす番になりそうです。
次回予告での彼女の言葉からすると、玉青がいつも自分の
話す事を聞いていてくれたと気づいたようですね。冒頭の
場面でも、いつも玉青がそばにいてくれたことをわからせられたと
思いますので、玉青をはじめ周りの人達の気持ちに答え
られるようになってくれるのでは、と期待したいです。
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